こんにちは。加藤農園です。
本年度の梨やお米の販売も豊作で終了でき、神様と関係者の皆様に感謝していったん落ち着きました。終わると同時に次年度への準備にすでに入っております。
当園の梨の美味しさのヒミツと環境への配慮・SDGsの取り組みを少しだけ公開しちゃいます。
目次
スバリ!当園の美味しさの秘訣は、飼料としても活用できる「内城菌(うちしろきん)」入りの堆肥(内城菌特殊有機肥料)「健やかファーム」へのこだわりです。
この肥料については、株式会社二見(https://www.futami.net/business/food_recycling.html)の食品リサイクルの取り組みから購入させて頂いております。
今回、㈱二見の須長社長の所に訪問し、取材をさせて頂きましたのでご紹介させて頂きます。
日本ではまだ食べられるのに捨てられる食品、いわゆる「食品ロス(フードロス)」が年間600万トンあると言われています。賞味期限に関する商習慣(3分の1ルール)の見直しや、陳列順ではなく棚の奥から取る消費行動の改善などまずは廃棄物にならないよう発生抑制に努めることが大事だという事です。それでも不要になってしまった食品廃棄物は 焼却処理せずに堆肥化や飼料化することによって 環境負荷を減らすことができるということです。株式会社二見では今ニーズが高い食品リサイクルの施設を自社保有し運営されています。
食品スーパーから廃棄される売れ残り野菜を中心に、回収から再生処理、堆肥の販売までを一貫して自社で行っており、対応エリアとしては、東は神奈川県平塚市、西は湯河原町まで、神奈川県西部のから直接回収に伺っているということでした。
内城菌(うちしろきん)について
内城菌(うちしろきん)について
まずお話を聞かせてもらったのが、高級ブランド内城菌(うちしろきん)についてでした。内城菌(うちしろきん)は、農業における重要な役割を果たす土壌菌の一種です。農作物の栄養価を高め、味を向上させるための肥料として活用されています。以下は、内城菌に関するいくつかの重要な効能です。そして私もこの菌について色々調査しましたので、参照先のURLも併せてご紹介いたします。
内城菌とは
昭和30年代に、農法研究家の内城本美氏(うちしろもとみ)が発見した複合土壌菌です。自然の力を生かした理想的な有機農業を研究していた、内城本美氏の「健康な農作物は健康な土壌から生れる」という、体験的農法から発見されました。この内城菌が、有機物を資源化するサイクルに大きな力を発揮するとして、見直されています。内城菌は主としてバチルス群に属する46種類の複合菌からなり、耐熱性のある好気性菌です。50年以上にわたり継代培養された内城菌は、農・畜産業等で利用され、近年、内城菌を構成する菌体の分析が進み、その効果が科学的にも立証されつつあります。内城菌の特徴として、第一に好気性菌が主で、空気と水と太陽により醗酵する最大の特徴と言えます。その中に嫌気性菌も入っていて、浄化槽の中でも水の中でも活躍し、養殖系にも素晴らしい効果を発揮しています。
内城菌の特徴をご紹介します。
1.環境保全:内城菌を使用する農法は、自然本来の環境システムを回復し、環境保全に貢献します。化学肥料を使わず、無農薬化も可能になるため、生態系への影響が少ないのが特徴です。
(特定非営利活動法人コスモ銀河計画HP参照)。
2.病気への抵抗力:内城菌を使った土壌は、病原菌が入りにくい環境を作り出し、農作物が病気にかかりにくくなるとされています。この特性は、作物が丈夫に育つことに寄与し、結果的に収穫量の増加につながると報告されています。内城菌は高温(摂氏80度)で活性化するため、安全性の高い微生物土壌を作り出すことが可能です。さらに、内城菌は糸状菌(カビ)、放線菌、酵母菌、細菌(バクテリア)などの他の土壌菌と協力して働くため、土壌の健康を維持し、バランスの良い状態を保つのに役立ちます。
3.栄養価の向上:内城菌は土壌中の栄養価を高めることができます。これにより、ミネラル分を含んだ安全かつ美味しい農作物が育つことが可能になります。また、様々な微量栄養素やアミノ酸が含まれており、これが作物の質を向上させる助けになります。
4.土壌の改良:内城菌は土壌改良剤としても有効で、連作障害にも強いとされています。これにより、同じ土地での作物栽培が容易になり、土壌の健康が長期間保たれます。農薬や化成肥料に頼らないため、健康でやわらかな農地を回復することができます。また、元肥としても追肥としても効果のある有機肥料で、作物に旨味と栄養を付与し、安全で環境保全にも大きく貢献します。
5.廃棄物のリサイクル:内城菌は、食品工場などで出た生ごみを栄養分に富んだ飼料や肥料に再生することができます。これは、環境問題への取り組みとしても重要な意味を持ちます。
内城菌を使用した肥料は、これらの多様な効能により、農作物の栄養価と味を向上させることができます。そのため、内城菌を含む肥料を使うことで、農園の製品の美味しさの秘密となると言えるでしょう。
この肥料を畑で使用すると地力が回復し、農作物がより元気に育つ。家畜や養殖魚のエサに使用すると免疫力の向上につながる。国際協力機構(JICA)は、このシステムをベトナムの水産物残渣処理で活用し始めた。ベトナムは世界トップ10に入る水産輸出国としてエビやナマズを輸出していますが、その加工段階で排出される汚物が大きな環境問題となっています。BUIKシステムの導入によりベトナムの生ごみ処理問題は解決の兆しが見えてきた。 修電舎は今後、ベトナムをはじめ東南アジアでの食品残留物、生ごみ問題の解決を目指しているそうです。SDGsの観点からも世界から非常に注目されている発酵菌肥料です。
食品廃棄物の堆肥化によるリサイクルスキームに惚れました。
食品廃棄物の堆肥化によるリサイクルスキームに惚れました。
当園がこの「健やかファーム」を選んだ一番の理由がココにあります。㈱二見は、今ニーズが高い食品リサイクルの施設を自社保有し食品スーパー等より廃棄される売れ残り野菜中心に回収から再生処理、堆肥の販売までを一貫して自社施設で行っています。
株式会社二見代表取締役の須長勇太氏に取材させて頂いた時に力強くコメントをいただきました。弊社がこの商品を20年前に選び、今でも継続している理由は、大きく2つあるそうです。
1つ目は、日本国の今の状態です。日本は、自給率が低いと言われていますが、動物(家畜含む)のエサも輸入に頼っている。これではいけないと思い、自給率を少しでも向上することに貢献できないかと考えました。
2つ目は、その農業の世界で病気になりにくく、農薬に頼らないで害虫を寄せ付けず、その土地の可能性を拡げられる有機肥料・すなわちこの内城菌に出逢い、農家さんや様々な関係者の方々にお役に立てるからだと笑顔で応えてくれました。
3つ目は、加藤農園調べですが、この内城菌を活用して栽培している農家さんの中で、特に高級な部類に属する食材(お茶・食用菊・イチゴ等)で使われていることが多いので安心と信頼感が生まれますね。東北中心に高級ブランドに使用されています。
有機肥料と化成肥料の違いをご紹介します。
表にしてまとめてみました。
特徴 | 有機肥料 | 化成肥料 |
成分の起源 | 植物や動物由来 | 化学合成された無機物 |
発酵 | 土を分解し発酵する | 土の中で発酵しない |
栄養素の種類 | 多種多様な栄養素 | 特定の栄養素をターゲット |
栄養の放出速度 | 徐々に放出、長期間効果 | 素早い放出、短期間効果 |
土壌への影響 | 土壌の構造改善、生物多様性促進 | 長期使用による土壌の硬化や酸性化 |
環境への影響 | 環境に優しい、自然循環を促進 | 化学物質の使用による環境への潜在的リスク |
コスト | 一般的に高価 | 比較的安価 |
使用法の容易さ | 分解に時間がかかるため計画的な使用が必要 | 即効性があるため、簡単に使用可能 |
効果の持続期間 | 長期間持続 | 短期間での効果 |
適用範囲 | 多目的、広範囲の作物に適用 | 特定の作物や栄養不足に応じた適用 |
貯蔵と取扱い | 長期保存が可能だが、保管条件に注意 | 安定しており、取扱いが容易 |
有機肥料と化成肥料は、その成分と作物への影響が大きく異なります。
有機肥料
有機肥料は、動植物の残骸や有機物が分解されて作られます。これには堆肥、鶏糞、牛糞などが含まれます。
特徴:有機肥料は、土壌の質を改善し、微生物の活動を促進します。これにより、土壌の保水能力や通気性が向上します。
効果:長期間にわたって徐々に栄養が放出されるため、作物の成長が安定します。例えば、堆肥を使用すると、土壌の肥沃度が向上し、トマトやキュウリなどの野菜がより豊かな味を持つようになることが報告されています。
化成肥料
化成肥料は、化学的に合成された無機化合物から作られます。これには窒素、リン酸、カリウムなどが含まれます。
特徴:化成肥料は即効性があり、必要な栄養素を迅速に作物に供給することができます。
効果:短期間で作物の成長を促進するため、収穫量の増加に寄与します。例えば、窒素肥料を使用すると、米や小麦の収量が短期間で増加することが知られています。
まとめると
・有機肥料は土壌の健康を長期的に保つのに対し、化成肥料は迅速な成長促進を図ることができます。
・有機肥料は土壌の生態系全体に利益をもたらし、化成肥料は特定の栄養素を迅速に補給します。
・両者のバランスを取ることで、作物の生産性と土壌の持続可能性を同時に高めることが可能です。
加藤農園では、毎年この肥料や薬を少しづつ変えており、美味しい梨を育てるために日々研究と努力を惜しまず邁進しております。
世界の農業を変える内城菌
また、世界の農業を変える内城菌を活用したBUIK system(修電舎・宮崎県)の取り組みもご紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=yJzGyf-u5mU&t=0s
凄いですね~。世界の循環型社会へ課題を解決するしくみが日本でできているとは知らなかったです。
須長社長は神奈川県とのタイアップ研究についてもお話ししてくれました。
神奈川県の農業技術センターの畜産技術センター(海老名市)で、にわとりへの実験で今まで肥料として使っていたものを動物の食べ物(飼料)に使えるようにするという実験で「健やかファーム」を活用したようです。これは高品質の商品やそれを扱う企業として研究パートナーに選ばれた証です。この実験が成功し、土に対しての肥料から、動物に対する飼料になったことでより安全性が高いものであるという事になります。この実験の目的のひとつとして、未利用資源(売れ残り食材)の利活用。リサイクルの循環が出来上がるというものになります。その先に日本の動物のエサの自給率アップに貢献できるということになります。
「健やかファーム」の作り方!公開!?
須長社長は、気取らず、「工場も見ていって~」と笑顔で工場内を案内してくれました。
このように、近隣からリサイクル用の食品を回収してきます。
食品の残り物を資源化する循環システムです。大きいですね~!
この装置で内城菌と混ぜ、ここまで細かくなります。
様々な工程で細かくしていき。米ぬかとも調合しこんなサラサラな状態まで加工します。
これをパッケージして農家さんや販売店さんへ出荷!
内城菌により熱が出て、湯気が上がっておりました。そしてその工程を管理している装置も見応え・迫力があり、スゴかったです。工場内は匂いもなく、衛生的だったという印象もあります。取材してみて、やっぱり選んで良かったと再度思った次第です。様々な考えを回想しながら日々の仕事も再点検できて工場見学はとても良かったです。ありがとうございました。
ココがポイント!
二見さんの取材はいかがだったでしょうか?
農家がこのSDGs・地域内循環リサイクルの取り組みを選択するという事は、通常より仕入原価が高くなります。プロ向けでこだわる人向けの取り組みかもしれません。しかし、加藤農園では、この株式会社二見の「健やかファーム」を使ってから、安定して高品質なものができている実際の成果として感じて、選択し、実際に活用させていただいております。
また、当園では直接関係はありませんが、「食品リサイクル法」というものがあり、食品廃棄物を年間100トン以上排出している多量排発生事業者に対して、業種別再生利用等実施率や多量発生者に対する発生量、再生利用量などの報告が義務付けられています。また世界レベルでの気候変動、CO²削減、SDGsへの取り組み等、当園でできることは少ないと思いますが、出来ることはやっていきたいという気持ちを表現しました。
土地の可能性を惹き出し、飼料にも使える安心・安全で高品質な肥料を使っていることが、自慢であり、こだわりであります!しかし、この「健やかファーム」に頼りっぱなしではなく、他の農法や育成方法にも工夫をし、毎年研究を重ね、昨年より今年の方がおいしくなるように常に努力をしております。
今後も加藤農園のこだわりを投稿していきます。お楽しみに~♪
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